マイクロセメントは、樹脂を含んだモルタル系の左官材。薄く塗ってもひび割れしにくく、カーブなどの曲面にも対応できるのが特徴です。海外では広く普及し、意匠性と機能性を兼ね備えた仕上げ材として人気を集めています。ベルギー製の「モールテックス」の名前をご存じの方もいらっしゃると思います。
タカラ塗料のマイクロセメント「モルクラフト」は、キッチンカウンターや洗面台、シャワーブースなどの水回りにも対応。防水性に優れ、テーブル天板や店舗のカウンターにも最適です。
独自のシンプルな施工プロセスで、工期を短縮しながらも、美しい一枚岩のような重厚感を表現可能。特殊な専門工具を必要とせず、初心者でも満足いただける高品質な仕上がりを実現できます。さらに、施工後のお手入れも簡単で、メンテナンスの手間がかかりません。
常に水が掛かるようなシンク、キッチンカウンターや洗面台、シャワーブースなどに継ぎ目なく美しい施工ができます。
優れた耐候性と高い強度を兼ね備えているため、屋外の玄関周りや駐車スペースにもご使用いただけます。
主材は容器の蓋を開ければすぐに施工できる仕様。使う分だけ出して使えますのでロスが抑えられます。
初心者にもわかりやすい施工手順。一般的なマイクロセメントと異なり、3㎡程度であれば2日で施工可能です。
保護剤不要。汚れや熱、水分やアルコール除菌などにも強いトップコートを採用。住居や商業施設の施工に最適です。
タカラ塗料の「モルクラフト」と、日本国内においてマイクロセメントの認知度が高い他社製品との比較をまとめました。
モルクラフト | 他社製品 | |
---|---|---|
施工する人 | 初心者でも可能 | 講習会を受講した施工業者 |
施工手順 | 3~4工程 | 5工程 |
工期※ | 2日間 | 5日~1週間 |
1㎡当たりの材料単価 | 9,200円~ | 20,000円前後 |
油の飛び散り、熱い鍋の直置き、水分の長時間放置 | 目視での変化はみられない。
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シミや汚れの原因となるので、すぐに拭き取る必要がある。 |
アルコール除菌 | 目視での変化はみられない。 | 使用不可 |
マイクロセメント「モルクラフト」の基本的な構成はこちらの4層になっています。
施工面が金属や釉薬のタイルなどツルツルした素材の場合は専用強力プライマーを使用します。
施工面が未塗装の木材や表面に凹凸が目立つ場合は、面を平らにするために下地にベースが必要になります。
表面が平らな場合はベース不要。
床面の場合は全面に厚手のメッシュとベースを塗って硬く丈夫にする必要があります。
床や汚したくない場所をビニールシートなどで覆います。
やする作業をする際に粉が飛び散ってしまうので家具なども覆っておきます。
ベニヤ合板などの木材や古壁に施工する場合はアク止めにカチオン系シーラーを塗布します。塗布後、2時間程度乾燥させます。ビスや釘などはパテ処理を行います。
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金属面や磁器タイルなどの施工面は、密着性を高めるために40-60番程度のサンドペーパーでやすりがけをします。
ローラーで、モルクラフト専用プライマーを塗り広げます。割合は「モルクラフト専用プライマー:水=1:1」。
金属面や磁器タイルなどの施工面は、モルクラフト専用強力プライマーを塗布します(無希釈)。
塗布後、2~3時間程度乾燥させます。
壁面や既存のテーブル、棚など木製素材の上に施工してモルクラフト専用ベースを塗る必要がない場合は、工程3に進みます。
モルクラフト専用ベースに対し、25~40%程度の割合で水を加えなめらかなペースト状になるまでよく混ぜます。かくはん棒やヘラを使って底面からしっかり混ぜ、セメントの粉が残らないようにします。
コテを使ってうすく均一に塗り広げます。
合板の継ぎ目などからのひび割れを防ぐため、つなぎ目にはメッシュテープを伏せ込みます。 この時、メッシュテープの網目が浮き上がらないように気をつけます。塗布後、3~4時間程度しっかり乾燥させます。
目立つ凹凸や角は、乾燥後にサンドペーパーで平らにやすりがけしておきます。
モルクラフト主材(プライマリーホワイト)3kgに対し、カラーボトル1本(30g)の全量を加えて着色します。
カラーボトルはよく振り、中身をすべて主材に入れてください。容器に顔料が残ると色ムラの原因になるため、ボトルに少量の水を加えて振り、残った顔料もすべて主材に加えます。
色が均一になるまで、付属のかくはん棒やヘラを使い、底からしっかりと混ぜてください。かくはん機を使用すると、より効率的に混ぜることができます。
色の作り方動画をご覧ください。容器の中身をよくかき混ぜて必要量を取り、塗っていきます。
最初から柔らかいペーストになっているので、非常に扱いやすいです。主材は2回塗る必要があります。
1度塗り目は模様付けの目的があります。必要量目安は1㎡で500gを使うくらい。ひきずるようにしたり、大きく動かしたりと、コテの動かし方で色々雰囲気が変わってきます。円を描くように柄をつけると柔らかい印象になります。凹凸をつけすぎないよう注意します。
今回のテーブル天板の面積は大きいので、不自然な感じにならないようにコテを大きく動かしてみました。
角の部分は、角を押さえるコテが便利です。1回目を塗った後、2時間以上乾燥させます。
1度塗り目で凹凸をつけすぎると2度塗り目に影響するので、凹凸が気になる場合は、乾燥後にサンドペーパーやサンダーでやすりがけしておきます。
1度塗り目で出来た凹凸を埋めるようにコテでうすく塗り広げて平らにします。
2度塗り目も必要量は1㎡で500gを使うくらいの目安です。
ここからが、マイクロセメント「モルクラフト」のメインとなる工程です。
少しだけ乾燥(10~15分くらい)させてからきれいなコテを水平に当てます。
コテ面を使って磨いていくことで表面のキメが細かく詰まり、材料に含まれる雲母が角度によってキラキラと輝く美しい仕上がりになります。
表面に触れてしっとりした感触だけれど手につかないくらいがコテで磨くベストな状態です。
コテでなぞって取れたり、面にゴミが出る場合は早すぎるのでもう少し乾燥させる必要がありますが、逆に乾燥させ過ぎると磨き作業ができないので注意が必要です。コテは常にきれいな状態で磨きます。
モルクラフト主材を塗った後はしっかりと乾燥させます。一晩置いて翌日に次の工程に進むことをおすすめします。
このようなコテの摩擦熱で黒い筋になる状態(コテ焼け)が気になる場合は、表面をサンドペーパーでやすりがけすることで目立たなくなり、なめらかな仕上がりとなります。
モルクラフト専用トップコートはA剤とB剤と水を混ぜて使うタイプ。
割合は「A剤:B剤:水=5.2:1:0.9」。
1度塗り目はコテで、2度塗り目はローラーを使って合計2回塗り重ねます。 ローラーは未使用のものを使用し、ローラー目が残らないよう短毛ローラーを使用します。1度目塗りの方が吸い込みがある分、やや多く量が必要となります。
A剤とB剤と水は混ぜ合わせてから時間が経つと固まってしまうので、都度使う分だけ混ぜ合わせます。
A剤容器の中身は、取り出す前によくかき混ぜます。必要量のA剤とB剤をしっかり混ぜてから、水を加えてよくかき混ぜます。
表面の細かな穴の中まで浸透させるよう、コテで押し込みながら1回目を塗ります。水周りの場所にも使用できるのはトップコートでしっかり表面を覆っているからなので、塗り残しが無いよう色々な方向にコテを動かして塗る必要があります。
塗布量が多すぎると、専用トップコートが液だれしたり、白濁したまま硬化してしまうのでご注意ください。塗布量が多すぎる場合は、ローラーで余剰分を取ります。乾燥している表面に塗ると白い気泡が出来る場合がありますが、その際はコテやローラーでこすると消えます。4~5時間乾燥させます。
2回塗り目を行う前に、サンドペーパーやサンダーで全体をやすりがけしておくと、より表面がなめらかになります。
1回塗り目と同様に、今度はローラーで色々な方向で塗っていきます。トップコート塗りに使用したローラーは硬化剤が付着しているので再利用はできません。24時間後に完全に表面が固まってベタつきはおさまります。
合板で組み立てたテーブル天板がおしゃれで重厚感のある仕上がりに完成しました。テーブル天板やデスク天板がオーダー家具ではなくDIYで実現できます。(カラー/シャドウ 使用)
コテでつけたムラのある模様がおしゃれに仕上がりました。ひんやりとした石のような手触りです。
完成した表面の拡大はこちら。(カラー/シャドウ 使用)
モルクラフト主材を塗りつける1回目のコテの模様の付け方や、モルクラフト主材2回塗り目のコテで磨く作業によって、様々な表情が生まれます。こちらはその施工の一例です。自分のイメージする模様のイメージ作りのために、本番の施工前に板などでぜひ試してみることをおすすめします。
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施工したい部分が「未塗装の木材ではない場合・表面に凹凸が目立つものではない場合」は「専用ベース」を塗る必要がありません。
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特別な講習不要、扱いやすくシンプルな工程。一般的なマイクロセメントの施工よりも短い工期で仕上げることができるので、店舗の什器に施工するにも適しています。壁面、カウンターなど統一感のある上質な空間を作ることが可能です。
モルクラフト天板に赤ワインとコーヒーをこぼして放置。10分後に拭き取りました。
色素沈着は目視では分かりませんでした。
モルクラフト天板に沸騰したステンレス鍋を直接置き10分間放置。
表面が溶けたり焼けたりを目視では分かりませんでした。
モルクラフト天板に162℃に熱した油の入った鉄製中華鍋を直接置き一晩(8時間)放置。
油染みや表面が溶けたり焼けたりを目視では分かりませんでした。
合板で作った木製の箱の内側にモルクラフトを塗り水を注ぎました。水が染み出ることはありませんでした。
モルクラフト天板に濡れたコップを置いた跡の拡大です。水は染み込まず玉のようになっています。拭き取れば元通りになりました。
以下のような素材でも「専用強力プライマー」を使うことで施工ができます。
モルクラフトは、屋内外さまざまな場所に施工可能。施工する目的や場所に適した下地処理とプライマーをご案内します。以下の表を参考にしてください。
※ベースが必要な場合は全面に塗ります。
施工対象物や場所 | 必要な下地材料 | |
---|---|---|
造作物・ 天板など | ベニヤ、MDF、一枚物の木製天板 | 接続箇所があればメッシュ+パテ処理 → 含浸シーラー → モルクラフト専用プライマー → モルクラフト専用ベース |
ステンレス製のシンクなど金属面、人造大理石のキッチンワークトップ、タイル(釉薬・磁器) | モルクラフト専用強力プライマー | |
既存のテーブルや棚(木製素材) | モルクラフト専用プライマー | |
既存のテーブルや棚(樹脂系素材) | モルクラフト専用強力プライマー | |
壁面 | 合板下地、石膏ボード下地 | 接続箇所メッシュ+パテ処理 → 含浸シーラー → モルクラフト専用プライマー |
タイル(釉薬・磁器) | モルクラフト専用強力プライマー → モルクラフト専用ベースで目地埋め | |
床面 | 合板下地、モルタル下地やコンクリート下地 タイル(釉薬・磁器) | モルクラフト専用強力プライマー → 全面メッシュをモルクラフト専用ベースで伏せ込み |
塗りたい面積に合わせて「3平米」「6平米」「12平米」「20平米」をお選びください。
金属面や磁器タイルなどの素材に直接施工する場合は、専用強力プライマーがセットになった「強着」タイプをお選びください。
セット名 | 専用プライマー | 専用強力
プライマー |
専用ベース | モルクラフト主材 | 専用トップコート | 専用コテ |
---|---|---|---|---|---|---|
コテ付セット | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ |
コテ付セット(ベース無) | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ |
塗材のみセット | ○ | - | ○ | ○ | ○ | - |
塗材のみセット(ベース無) | ○ | - | - | ○ | ○ | - |
強着/コテ付セット | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
強着/コテ付セット(ベース無) | - | ○ | - | ○ | ○ | ○ |
強着/塗材のみセット | - | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
強着/塗材のみセット(ベース無) | - | ○ | - | ○ | ○ | - |
磨き作業に最適な硬さとゆるやかなカーブのあるブレード、しっかりと握って力の入れやすいグリップの、本場イタリアCOME社製ステンレス左官鏝。
モルクラフトなどのマイクロセメントの仕上げに必要な「表面を磨いて美しい模様をつける」作業に最適のコテです。
<専用コテの仕様>
サイズ 240mm×80~100mm
ブレード:ステンレス製 厚さ0.6mm
〒557-0063
大阪市西成区南津守4-3-17
06-6659-2321(平日9~17時)
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