
マイクロセメント「モルクラフト」の施工において、コテの選び方はとても大切です。
DIY施工をするくらいでしたら、ホームセンターなどで手に入りやすい、日本の一般的なコテで良いかと当初は考えておりましたが、実際に様々なコテを使ってみてその重要性を実感できました。
今回は、その違いをご紹介します。
施工方法の違い
モルクラフトの仕上げには、一般的な左官とは異なる「磨き」の工程があります。
この磨き作業は、塗った材料を削るように、また押し当てて表情をつけていくもので、使うコテによって作業のしやすさと仕上がりが大きく変わってきます。
磨き方①コテの「辺」で削るように磨く

モルクラフト主材2度塗り目時に、写真のように45度程度に傾けて1度目塗りの分と一緒に削りながら磨くという作業があります。この作業は意外と力が必要で、プレートにしっかりした強度がないとたわんでしまうため、通常の柔らかいコテではうまくいきません。
磨き方②コテの「腹」で押し当てて磨く

モルクラフトの美しいムラのある模様は、しっかりとコテの腹部分を押し付けて磨くことで生まれます。このためプレートが真っ平らだと引っかかってしまう場合があります。
これらの作業をするためにマイクロセメント用のコテは違うようです。
この形状は「ベネチアントロウェル(ベネチアンコテ)」と言われており、イタリアのマイクロセメントなどの仕上げ磨き用のコテの総称です。
形状の違い
そのためベネチアンコテと、日本の一般的なコテとはかなり違いがあります。比較の写真をご覧ください。
四隅に丸みがある


磨き作業の際に引っかかりにくいよう、ベネチアンコテは四隅に少しアールがあります。
プレートにわずかな反りがある


ベネチアンコテを平らな机の上に置くと、わずかに反っているのがわかります。コテの「腹」で押し当てて磨く際の作業性に大きな差が出ました。日本のコテは塗材を塗りつけることはできても、強く推し磨く際に表面を傷つけてしまいました。
固めのステンレス素材


日本のコテも曲がりにくいものもあるかと思いますが、一般的なコテよりもベネチアンコテは固いようです。
角がテーパー(面取り)加工


ベネチアンコテは、角がやや面取りされていてテーパーになっています。これも引っかかりにくい要素のようです。
安価な類似品との違い


ネットなどで「ベネチアンコテ」として安価に販売されているものの中には、
・プレートが完全に平ら
・角が面取りされていない
・柄の強度が弱く、施工中にたわんでしまう
といった製品も多く、施工中にストレスとなったり、仕上がりに影響を与える可能性があります。
マイクロセメント「モルクラフト」に適したコテ


現在タカラ塗料では、ローリングドック社製のベネチアンコテを取り扱っています。
以前採用していたイタリア COME社製品に比べて価格が半額以下に抑えられていながら、性能や使い心地に大きな差はありません。実際に社内で施工テストを行い、「これは使える」と確信を持っておすすめできる製品です。
モルクラフトの施工を成功させるためには、材料だけでなく道具選びも重要なポイントです。
特に仕上げの美しさにこだわるなら、コテ選びが仕上がりを左右するといっても過言ではありません。初めての方にも、安心しておすすめできる専用コテを揃えておりますので、ぜひチェックしてみてください。